一旦死んだって話

 

自分が壊れている感覚がした

どんどん、どんどん壊れていく

死んじゃうのかな

死んだほうがましかな

死にたくはないな

死にたくない

 

誰か助けてほしい

 

毎日夢を見ているようだった

 

ベットの上にいた

点滴が繋がっている

 

誰かがきた

「こめんね。いじわるでこんなこと

してるわけじゃないからね」

両腕に付いているものを

また強くした

眠かった

 

目が覚めた

起き上がれない

両腕に付いているものが

ベッドの柵につながっている

 

真っ暗だった

気付いたらまた眠っていた

 

何度目が覚めても

真っ暗だった

 

確かここに来る前に

家族に病院に行きたいと言った気がする

 

てか暴れてここに入れられたんだっけ

 

あれ、思い出してきた

叫んだわ

雄たけびあげたわ

 

 

トイレ行きたいけどどうするの

てかなんでベッドと繋がってんの

 

ここ病院だよね

うん病院

思い出してきた

でもなんでベッドよ

布団の上に寝かされた気がするんだけど

 

眠い

目が覚めた

相変わらず真っ暗

相変わらずベッドとお友達

てかさっき誰か来て

「寝ていいんだよ」

って言ってきたたぶん

夢?

てか死んだの

なんで暗いの

 

寝てた

なんか違う

あ明るいわ

死んでないわ

 

人が部屋に入ってきたから

「話をして」と言った

「なあに」って聞いてきた

点滴を触っている

もう一人来た

二人とも女の人だ

あーこの人たち看護師だ

しゃべり倒した

無視されてるけど関係ない

「私のミスだ~」って一人が言った

点滴をぐりぐりしてきた

痛え痛え

「何の点滴?」

無視された

 

また寝てた

起きた

また明るい

死んでないみたい

 

今度は男の人来た

あこれ先生じゃん

「この腕のやつ何とかして~」って言ってみた

「今日は空がきれいですね」だって

会話のキャッチボールできてないし

たしかにめっちゃ晴れてるけど

 

どかどか部屋に人がいっぱい入ってきた

点滴が外れた

両手も自由になった

みんな部屋の中掃除し始めた

何事かな

と思ったら

「先生がもう大丈夫だって」って言ってきた

 

ベッドどっかいった

布団かよ

てか部屋ひとり部屋じゃん

狭いし

でもトイレあんじゃん

なんかなんてゆーか

牢屋じゃん

ドアにドアノブないじゃん

なにこれ出れないじゃん

でも外見れる

病院だ

物置の前かよ

看護師さんとか通るけど

私の存在無視じゃん

え死んだ??

なんか死ぬ前の部屋みたい

また看護師さん向こうからくる

部屋の中から

「すみませーん」って言ってみた

だって仕組みわかんないもん

手を振られた

え?手を振り返した

笑っていた

何怖い

 

てか時計まであるじゃん

日付みた

はい?この前病院来たときって

確か1月の始めだったけど

今2月6日って出てる

何してたの私

死んだの?

生き返ったの?

 

静かすぎ

布団とトイレだけ

まじ牢屋

 

考えた結果、死んだんだ。って結論出た

 

でも床ずれっぽいの出来てておしり痛い

生きてるとして

1か月寝たまんまだったってことか

ドラマみたい

だけどここ牢屋

意味わかんない

 

コンコンって音聞こえた

ドア開いた

看護師さんがご飯持ってきた

「久しぶりだから、胃がびっくりしちゃうかな」

ってご飯食べさせてくれた

えーおかゆじゃん

食べさせてもらった

「うんまあああああああああ!」

「うえええええええええっつ」

一口しか食べれなかった

疲れた

即寝した

 

起きた

暗い

またか

寝た

起きた

 

 

何度も繰り返した

また明るくなってた

ある日これって朝じゃんってなった

掃除のおばちゃんが

「初めまして~おじゃましまーす」って来た

デブだwwうけるww

親しみやす~

「あの、私って死んでます?」って聞いた

「んもう!!死んでたら私とお話しできるわけないじゃない!!あなたは生きてるわよ!い・き・て・る!!!」

「ここ病院!死なせない!!あなたのことずっとみてたのよ!」

「ほらね!」って私の手を掴んでぶんぶん振った

二人でめちゃくちゃ笑った

おばちゃんは去っていった

 

その日はいろいろあった

まず朝ごはんが来た

普通のご飯だ

ちょっと残した

そしたら看護師さんにめっちゃ怒られた

「アフリカの難民が~」って言われた

「昨日はあんなにもりもり食べたのに!」って言って去っていった

覚えてないし

 

コンコンってまた聞こえた

「お風呂だから」って言われた風呂場に行くとあの掃除のおばちゃんがいた

「あ!おばちゃん!」声かけた

「あらーーーー」ってしかめっ面された

この前のことは内緒らしい

「腹が出てるから彼氏にお前妊娠したのかって言われた」って言うと

「なにね花粉が飛んできただかね」っておばちゃんが

「はあ?」って言うと

「だから花粉が飛んでこなかったら受粉できないでしょうが!そんなことも知らんで」ってしかめっ面された

「いや私植物じゃなくて人間だけど、人間は行為をしないと妊娠しないけど・・・」って言いながら大爆笑した

ちなみに1か月ぶりに鏡で見た自分は痩せこけていた

 

部屋に戻るとやっぱり牢屋だった

でも掃除のおばちゃんとのやり取りを思い出して

ずっとひとりで笑っていた

もう慣れた

暇すぎた

あるのは布団だけあとトイレも

お茶もあったわ

お茶がこぼれたけど拭くものがなかった

とっさにトイレットペーパーを取って拭いた

なんだよこれゴミ箱ないじゃん

どこ置けばいの

そのぶつを壁に向かって「えいっ」って投げた

壁にペタってくっついた

笑った

暇つぶしひらめいた

お茶こぼしてトイレットペーパーに含ませた

いっぱい作って

何個も何個も壁に向かって「えいっ」て投げた

全部くっついた

めちゃくちゃ笑った

楽しかった

 

そしたらコンコンって聞こえた

「やばい」と思った

「なにこれーーーー!!!」って看護師さんびっくりしてた

「これは何?!」って聞かれた

お茶もらえんくなるって思った私はとっさに

「お、お、おしっこ・・・?!」自分でもびっくりした

水道に連行された

手を洗わされた

なんで信じるんだよ・・プライドが傷ついた

「あの・・お茶です。先生には言わないで」言わずにはいられなかった

次の日先生が来た

「常識を考えてください」ってすんごく怒られた

きちんと申し送りされていた

いやここに入れてることが犯罪だわと思った

お茶は没収されなかった

ひとりになって

「人間の基本的人権・・・」と言ったら

笑えた

 

そんなこんなで元気になった私はいきなり退院した

これが一旦死んだって話

 

 

ちなみにこれは作り話です

 

~完~